七色に輝くゼラチン質 カブトクラゲの特徴と魅力について

皆さんこんにちは(^^♪

今日はクラゲはクラゲでも、刺胞動物門に属さないクラゲ。
つまりはクラゲの象徴ともいえる刺胞細胞を持たない有櫛動物門の1種
カブトクラゲ(Bolinopsis mikado) についてお話させて頂きます!!

Bolinopsis mikado

カブトクラゲの分類
  • Class:有触手綱
  • Order:カブトクラゲ目
  • Family:カブトクラゲ科
  • Genus:カブトクラゲ属

 

虹色に輝く姿が何とも幻想的なクラゲですよね✨✨
始めてこの姿を見た方はその美しさに、息をのんだ方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?

大きさは最大で10cm程、日本各地の沿岸域で一年中確認されています。
名前の由来は形が戦国大名が被っていた兜に似ている事からこの名前が名づけられました。
相模湾周辺では主に9~11月にかけて多く確認する事が出来ます(^^♪

さてこのカブトクラゲですが,初めにも申し上げた通り、
刺胞動物門に属しておりません。有櫛動物門に属します。
そのため生活史も通常のクラゲ類とは大きく異なり、ポリプ世代を持ちません。

comb jelly life cycle
Jellyfish, Coral, Sea Anemone, and Hydroids Published by Myron Stevenson

上記の画像の様に、雌雄同体の成熟した個体が卵を形成し、その後体外へと放出します。
放出した卵はその後分裂・変態を繰り返しフウセンクラゲ型幼生となります。
そして成長すると皆さんに馴染み深い姿へとなります。

Ryan et al. 2013 Mnemiopsis leidyi
The Genome of the Ctenophore Mnemiopsis leidyi and Its Implications for Cell Type Evolution
Ryan et al. 2013
写真は同じカブトクラゲ目に属するMnemiopsis leidyi 胚変態の様子

突然ですが問題です!!

このフウセンクラゲ型幼生ですが、幼生時のみあるものを持ち合わせ餌を捕食します。
それはなんでしょうか!?
(:]ミ
(:]ミ(:]ミ
(:]ミ(:]ミチクタク…チクタク…。(:]ミ
(:]ミ(:]ミチーン!!(:]ミ(:]ミ
皆さん分かりましたか?

正解は……。 膠胞(こうほう) です!!

膠胞の存在をご存知だった方、相当のクラゲマニアですね~( *´艸`)

簡単に申し上げると、有櫛動物門幼生時のみに持ち合わせる
刺胞細胞の様なものです。

フウセンクラゲ 膠胞
Right picture. Phylum Ctenophora Comb Jellies Phylulm Ctenophora. Published byNigel Kelly
左の写真はフウセンクラゲ

しかし刺胞細胞とは異なり、毒は持ち合わせません
原理としましては餌生物などが触手に触れると、
粘着粒がはじけ、粘液の様なものが分泌されます。
そして絡めたられた餌生物を本体が取り込む。
刺胞細胞の様に刺糸が飛び出し、そこから毒を注射して麻痺させる捕獲方法とは異なりますね。
刺胞細胞について知りたい方はこちらをCheck!!↓↓
クラゲに刺されると何故痛い!?最新の研究報告から解説します

 

(:]ミ(:]ミ閑話休題(:]ミ(:]ミ

 

さてこのカブトクラゲですが、
実は日本国内においては大量発生が度々報告されています(Hirota 1974, 上野 2005)。

カブトクラゲ
撮影者:尾崎 陽一

特に同じカブトクラゲ目の Mnemiopsis leidyi においては世界中でその被害が報告されており、
動物プランクトン・魚類漁獲高を減少させる被害が報告されています(Kogovšek et al. 2010)。

また船のバランスを保つために現地の漁港で汲まれた「バラスト水」が原因で
本来の生息地とは異なる場所で繁殖している例も確認されており、
国立環境研究所では「世界の侵略的外来種ワースト100」に登録されています。

Mnemiopsis leidyi wikipedia
引用元:wikipedia 画像はMnemiopsis leidyi

今の所日本で確認されてはいないそうですが、十分に警戒が必要であることは間違いないですね。
そして日本側からも海外へ持ち込まないようにする十分な注意が必要ですね。

如何だったでしょうか?
水族館で人々を魅了してくれるその美しさとは裏腹に、
様々な側面を持っている事に驚いた方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?

もし海辺で見かけた際には、本当にカブトクラゲかどうか同定してみてください。
もしかすると外来種だったり…。

それではまた次の投稿でお会いしましょう(^^♪

有櫛動物門に関する記事は此方をcheck!!↓↓
最古の肛門はクラゲにあり!?進化論を覆す事実ここにあり!!

 

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