生態系を脅かす小さな悪魔? キタヒラクラゲの特徴と魅力について

こんにちは、そして初めまして「クラゲ屋」新メンバーです。

店長,副店長のものに劣らない情報を載せていきたいと思ってます,よろしくお願い致します。

さて、今回ご紹介するのはキタヒラクラゲ(Dipleurosoma typicum)

キタヒラ 7

 

Class:ヒドロ虫綱

Order:軟クラゲ目

Family:キタヒラクラゲ科

Genus:キタヒラクラゲ属

 

 

大抵のクラゲは種によって放射管の本数が決まっていますが、
キタヒラクラゲは個体によってまちまちで、傘縁に100本を超える触手を持つ個体も存在します。

成熟時には、中心部に生殖巣が発達してきます。(下図参照)

キタヒラ 8 - コピー

このクラゲの注目すべき点、
それはキタヒラクラゲはクラゲ体で無性生殖を行うという所にあります。

クラゲ体でも無性生殖を行うものに関しては、
先にコモチカギノテクラゲシミコクラゲの記事でも述べましたね♪
しかし、以前紹介した2種は出芽(←知らない人はコモチカギノテクラゲの記事をcheck!!)
という方法でクラゲを出すという話でしたが、
キタヒラクラゲは以前紹介した方法とは違う方法で個体数を増やしていきます。

「分裂」

これが彼らが個体数を爆発的に増やす方法です
分裂とは、文字通り、
1匹のクラゲがちぎれて2匹のクラゲになります。(下図参照)

キタヒラ 9

シミコクラゲの記事を読んでくださった方はこの先が想像できるかもしれませんが、
1匹が2匹に、
2匹が4匹に、
4匹が………

キタヒラ 10

この様に局所的に大発生します。
流石にこれだけ数が多いと他の生物への影響が気になりますね…。
今の所キタヒラクラゲに関する調査報告は聞いておりませんので何とも言えませんが、
一次的に競合する種の出現量を抑制する位の影響は十分に考えられるかと思います!!

しかしこのキタヒラクラゲ、体は非常に弱いようで、
網で掬って水からあげると変形して沈んでしまう個体が多かったです。

その為、採集する際には水ごと掬って採集することが望ましいです。
因みに飼育はわりと容易で、人工海水でも2ヶ月ほどの飼育ができました!

また名前から筆者は北部にのみ分布しているのかと思っておりましたが、
北海道や東北はもちろん、伊勢湾や瀬戸内海、長崎など各地で発見報告があるので、
みなさんのお近くの海でも早春に出会えるかもしれません…。

ではでは、ここらで切り上げようと思います。
また次回の投稿でお会いしましょう。

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