(:ミ クラゲ採集・飼育講座 (:ミ 

このページではクラゲの採集方法から飼育方法まで、必要とされる基本ノウハウを全て記載してあります。
 クラゲを飼育したい! 」「 いつかクラゲを採りに行きたい!! 」そう思っている方は是非一読下さい^^

(:ミクラゲ採集講座 (:ミ

まずは飼育するクラゲを採集しに行きましょう!!
昨今、クラゲを購入できるサイトやお店もありますが、海へ採集に向かえばお店に並んでいない様な様々なクラゲを採集し、飼育する事ができます。

「どこにいるかわからない、、。」「見つけても捕まえるのが怖い。飼育するのが難しそう、、。」
なんて、なんとなく難しそうなイメージがあるかもしれませんが、実は簡単!
そして意外と身近なところにクラゲはたくさん潜んでいます!!(特にヒドロ虫)
それではまず、クラゲ採集に必要な道具からご紹介します!

必要な道具一覧

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採集道具一覧

①目の細かい網
100均で売ってる熱帯魚用のネットで十分です。

②長い棒
そこらへんに落ちてる木の棒とかでも十分です!
私は使わなくなった釣竿を使っています!伸び縮みできるので便利です!

③柄が長い柄杓
大型のクラゲを傷つける事なく採集できる必需品!
水も汲めるので便利です!ホームセンターで700円くらいで売ってます!

④透明な容器
これも100均に売ってる虫かごなどで十分。

⑤黒い下敷き
あると便利!無くてもいいです!

⑥ピペット
ガラス製の透明なものだとクラゲをとったときに見やすいのでオススメです!

※クラゲを持ち帰るための容器
ペットボトルでも十分です!持ち帰りたいクラゲが大きい場合はバケツなどを持っていきましょう!

①の柄杓は大きいクラゲを採集する事を目的にしなければ不要です。
※柄杓は形の崩れやすいクラゲを水ごと採集するのにも役立ちますので、あって困る事はありません!!
自分が捕まえたいクラゲの種類やサイズが決まっているのであれば、道具の量はもっとコンパクトになりますよ!
ちなみに上記を全て揃えるのに私がかけた金額は3000円ほど。安い!!

初めて採集に行く場合は、まずは何も持たずに「下見」に行くことをオススメします。行ってみてから、思ってた地形じゃなかった…持って行った道具では届かなかった… なんてことにならないためにも、まずは手ぶらで採集場所選びをしましょう!

それでは次に、クラゲ採集において最も重要「場所選び」のノウハウをレクチャーします。

採集場所

オススメの場所: 漁港等の波打ち際  比較的流れの穏やかな場所 %e6%bc%81%e6%b8%af

クラゲ採集において、場所選びは最も重要です!! いない所をいくら探しても、いないものはいません
クラゲはアンドンクラゲなど、高い遊泳能力を持った種を除き、波に逆らって遊泳出来る程の力はありません。
よって、 漁港や潮溜り、堤防の端など波が打ち寄せるポイント をまずは探しましょう。
また流れが穏やかな場所も、いる可能性が高いのでオススメです。

その為、水が留まるような比較的水深が深い所が適しております。

 潮が引いている時でなく、満ちているタイミング で採集に行きましょう!!
潮が引いたタイミングで採集に向かうと、クラゲも沖に流されている可能性が高いです。

 

良さそうな場所を見つけたら、まずは水面を眺めましょう。初めは全く見つけられませんが、目が慣れて来ると、数cmサイズのクラゲがひょこひょこ泳いでる姿が確認できるかもしれません。見つけた際には、柄杓などで掬いましょう♪
ポイント: 水面の波の動きとは異なる動きを探す事を意識しましょう! 
ちなみに、私たちの業界で水面からすぐにクラゲを見つける能力の事を「クラゲ目」が養われていると言います笑

クラゲがいる場所では、この様に肉眼で沢山のクラゲたちが 確認できます( *´艸`)

探しても見つからない場合は目の細かい網を水平・鉛直(ヨコ・タテ)にひいてみましょう!
多くのクラゲは数mmで、すぐに見つける事が難しいですが、ネットを引けば高い確率で採集する事が出来ます。
※この時、先程のリストにあった長い棒と目の細かい網をテープ等で固定すると水面、水中を曳きやすいです!
表層、中層、底層と分けて網をひいてみるとそれぞれ違うクラゲが採れるかもしれません!

 特にゴミが浮いてるようなところを発見したらその付近でネットを曳いてみて下さい! 
ゴミと一緒にクラゲも溜まっている確率が高いです!(ゴミは採集しないように…

ネットを曳いたら、網の内容物を 海水を張った透明な容器に移しましょう。
ここからが勝負!よーーーーーく見てみると、数mmのクラゲが泳いでることがあります。
見つけたらピペットで吸い取って持ち帰り容器に移しましょう!ライトを下から照らすと見つけやすいですよ!
※顕微鏡を持っている方は顕微鏡ごしの方が探しやすいです!!

(動画の様にライトを横や下から当てると、半透明な体に光が反射し見付け易いです!!)
そんなに簡単に採集出来るのかと思うかもしれませんが、本当に出来ます!!
最初は気づけない事がが多いかと思います。
しかし目が慣れて来ると、何かしらのクラゲが入っている事が確認できるかと思います。

重要なのは目を慣らす為に何度も採集に行く事。

%e6%bc%81%e6%b8%af「クラゲ目」を手に入れると
採集がとても面白くなってきます。
こんな身近な場所にこんなにもいたのかと…。

採集の度に新たな発見があるはずです!!

慣れてくると左図の様な大量の夜光虫・カイアシ類の中にいる0.4mm程のクラゲも見分けられるようになります!!

 

 

またこの採集法ではクラゲのみならず、他のプランクトンも採集されるでしょう。
ゾエア幼生、ヤムシ類、メガロパ幼生…自然の海には本当にいろいろな生き物がいる事を体感する事ができます。
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ぜひクラゲ以外にも興味を持って、自らの目でこの豊かさを感じて下さい( *´艸`)

きっと大きな感動が待っているはずです!!

採集についてはこんな感じです!
かなり簡単に説明していきましたので、もし不明な点・聞きたいことがありましたら、コメント欄等でいいのでなんでも聞いて下さいね!
※twitterからの質問に対して一番素早くお答えできるかと思います!!

少しでもクラゲに興味があるのであれば、ぜひ海に出かけ、採集活動をしてみてください!
水族館では決して見る事ができないクラゲが皆様を待ってるはずです!(^-^)
次はクラゲ飼育講座・餌生物編です♪(:ミ

(:ミ クラゲ飼育講座・餌生物編 (:ミ

さて、皆さんはこれでクラゲの採集マスターとなりました。
自然下で採集し、観察する事が出来るようになりました♪ ……。家でもこの可愛い姿を拝みたいと思いませんか?
拝みたいと思ったそこの貴方!!セカンドステップに移行しましょう!!

まずは飼育に必須な”“についてご紹介します!

多くのクラゲが動物プランクトン食性です。
そのためクラゲ飼育において最も使用されているのが、この「 アルテミア 」という動物です。
(※アルテミアで飼育できないクラゲ・口が小さすぎて食べれない個体も存在します。)

アルテミア 孵化直後 成熟時

アルテミアとは、Artemia属9種の総称であり、日本の田んぼ等で見られる「ホウネンエビ」に近い見た目をした小型甲殻類です。
「ブラインシュリンプ」や「シーモンキー」とも呼ばれます。
このアルテミアは乾燥に強い休眠卵を産出するため、プランクトン食性の生物の餌料として重宝されています。
クラゲをに用いる場合は、卵を購入して必要時に手元で孵化させるのが効率的です!!

ブラインシュリンプエッグ

http://www.brineshrimp.jp/seihi-3.html#425gx6can

それでは必要な材料に移りましょう♪

-必要なもの-
・アルテミア耐久卵
(※耐久卵は高温や湿気で孵化率が下がる為、使用後は密閉して冷蔵庫で保存。 )

・海水
・ビン(ペットボトルでも可)
・エアポンプ,チューブ
・スポイト

-あると便利なものー
・ヒーター
・水槽
・ライト

 

まずはアルテミアの耐久卵を購入します。
産地によって栄養価や値段が違ったりしますが、私が普段使っているのはユタ産Artemia franciscanaです。安いやつです。
他にも中国産・ベトナム産等があります。大きな違いは孵化時のサイズです。
 特にベトナム産はサイズが小さいので、小さな稚クラゲ・エフィラを飼育する上では最適です!! (高級フードですが…)

※1mmほどの小さなヒドロ虫も,アルテミアをすり潰して与えると食べてくれます。
また荒業として柄の付いた針などを用いて、アルテミアの内臓を取り出して与えるなども出来ます!!

耐久卵は海水に浸すことで孵化するため,使用する前日にビンに海水とともに入れておきます。
アルテミアは海でなく塩水湖に生息しているため,塩分は高めでも大丈夫です。

なおアルテミアの孵化率をあげるには,
・高水温(25-30℃)
・卵が舞う程度の適度な曝気(エアレーション)
・密度(卵 1g/L 以下)
・適切な塩分濃度(3.3~3.7%)
といった環境を整えると良いです。

そこで私はこの様な設備でアルテミアを孵化させています。

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水槽に水道水とヒーターを入れ、30℃で維持し、その中に耐久卵と海水を入れたビンを湯せんしています。
ビンの中にはエアポンプとチューブで曝気(エアレーション)を行うことで上記の環境を作っています。
この条件で,約18時間でアルテミアを孵化させることができます。
温度を弄れば都合に合わせて孵化までの時間をある程度調節することも可能です。

※簡易的な方法としてペットボトルの中に海水・エアーチューブ・ヒーターを一緒に入れ、その中に耐久卵を入れても大丈夫ですが、卵が無駄になりにくいので湯せんがオススメです!!

またヒーターはなくても孵化しますが、 室温によって孵化にかかる時間が変わったり孵化率が下がったりするので可能ならばヒーターで温度条件を整えることをおすすめします!  マット式ヒーターを使ったり、熱帯魚水槽に漬けたりといった方法もありますね。

アルテミアが孵化したら曝気を止め、ビンの側面からライトを当てます。
すると卵の殻や未孵化卵はビンの上下に溜まり、アルテミアは光源に集まってくるため、
そこをスポイトで回収します(アルテミアは光に集まる習性があります)。
上下を吸い取って、残りを使用する方法でも大丈夫かと思います♪

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オレンジ色の点はすべて孵化したアルテミア、白っぽい点が孵化しなかった耐久卵です。

そして回収したアルテミアを新しい海水で洗い,クラゲに与えます。
※ここで気をつけて欲しいのが、餌を与える前に、アルテミアを与えるクラゲ水槽の海水で洗う工程です。
基本的にはそこまで気を付ける必要はありませんが、あまりにも塩分濃度が異なると、食べたクラゲに大きなストレスとなります。
アルテミア水槽、飼育水槽の塩分濃度が同じ位か否か。しっかりと確認しましょう!!

エフィラ 給餌食べ過ぎてお腹パンパンなエフィラ達

なお アルテミアは孵化後 時間が経つと栄養価が下がっていきます。 成長に自身の栄養を用いる為)
ですので、餌として使う際は毎回新しく孵化させたほうがよいでしょう。
……が、お忙しい現代人、余裕がない日もあるかと思います(;´・ω・)
そんなときは、

・孵化したアルテミアを低温で維持して成長速度を遅らせる。
・孵化後冷凍保存して使用するときに用いる。

またアルテミア自体は本当に強い生物なので、適当に飼育していてもピンピンしてます。
よって飼育しつつ、使用前にクロレラフィードオイルを添加してアルテミアを栄養強化する等も手段として使えるかと思います。
しかし、段々とサイズが大きくなりますので、稚クラゲ・エフィラを飼育する際はお勧めできません

またこの栄養強化方法は、通常の飼育でも非常に有用であり、
実際に効果検証がされ発表されています。
飼育が上手くいっていない方は、試してみては如何でしょうか?
ω3-HUFAを用いて栄養強化したアルテミア幼生の投与に よるアマクサクラゲの未成熟クラゲへの成長効果(上野ほか 2004)

しかし、アルテミアにも欠点があります。
実はアルテミアは海産プランクトンと比べると,重要な栄養素が欠落しています。
水族館ではその栄養素を補ったうえで給餌していますが,それがどういった影響があるのか…
についてはまだ明らかになっていません!
※この話は長くなるので,気が向いたら別の記事で書きたいと思います。

これでクラゲを飼育する上で必要最低限の餌が揃いました!!

しかし皆さん。
クラゲって本当にアルテミアの様な動物プランクトンのみを自然下で食べているのでしょうか?

そんなことないですよね?
クラゲの中には仔稚魚を食べるもの、クラゲを食べるもの、様々なクラゲ達が存在します。

アカクラゲを始めとする旗口クラゲ目はその代表例で、
エフィラ期はアルテミアだけで済みますが、成長するとシラスやミズクラゲ等を餌として与えないと状態が悪くなるor成長しないなといった事が起こってきます。つまり 大型化するにつれて食性の変化が起こっている わけです。

※私の場合は市販の生シラスを購入して、子袋に1,2尾ずついれて冷凍保存。
その後、餌として使うときに海水で解凍して与えてます。

旗口クラゲ目 給餌

沢山のアルテミアを食べてはいるが、果たしてこれで足りるのだろうか?

つまり重要なのは、

 「飼育下で、如何に自然下で食べているであろう餌を与えるか。」 

これに限ります。
よってもし採集したけど上手く飼育が出来ない方は、
 「彼等が何処で生きて、何を食べているのか。」 
これを一度採集した現場で見て来て、調べてみて下さい。胃内容物を見るのも非常に有用かと思います。
これがクラゲを飼育する上で一番重要な方法であり、長期間飼育するコツです!!

それではいよいよ最後の章、 クラゲ飼育講座・飼育編 です♪(:ミ

 

(:ミ クラゲ飼育講座・飼育編(:ミ

大変長らくお待たせしました!
採集・餌とマスターした皆様に(やっと)クラゲ飼育についてお伝えします!
ここからは助手がご説明いたします。

クラゲの飼育はよくある熱帯魚のアクアリウムとはちょっと一味違います。
ですが、気を付けるポイントが分かると意外と単純なのでそれをご説明していきます!

【必要なもの】(餌やり用品は割愛しています)

◇水槽
飼育したいクラゲのサイズに合わせた水槽が必要です。
様々なタイプがありますので、こちらは後ほど詳しくご説明します。

◇フィルター
大きな水槽で飼育する場合は外部式フィルターが必要です。
水槽のタイプによってはスポンジフィルターを付けられるものもあります。

◇ヒーター or クーラー
暖かい水温にすむクラゲタコクラゲやサカサクラゲなど)にはヒーター
冷たい水温にすむクラゲシミコクラゲカギノテクラゲなど)にはクーラーが必要です。
水槽用クーラーは大きな水槽向けの構造で高額なため、小さな容器だけ冷やしたい場合には一人用冷蔵庫などを使うと便利です。

◇エアーポンプとエアチューブ
水槽のタイプによっては水流を作るために使う場合もあります。
エアストーンは細かい泡が出てクラゲの体内に泡が入り弱ってしまう原因になるので、使わないようにしましょう。

◇ライト
光合成するクラゲ(タコクラゲ・サカサクラゲ)には必須です。
用意するのが可能であればメタルハライドランプが一番元気に育ちます。
LEDを使う場合は水草用に販売されている光が強くて波長が植物用の(600-700μmの波長が含まれている)ものがおすすめです。
光合成をしない種類でも観察のためにライトを用意しても良いのですが、藻類の過剰な発生を防止するために長時間(目安6時間以上)つけっぱなしにしないようにしましょう。青色の照明は藻類が育ちにくいのでおすすめです。

◇海水
クラゲは体の95%以上が水分です。海水は飼育にかなり重要なファクターになります。
野外で採取したクラゲは天然海水で飼育する事が望ましいです。
天然の海水を汲んで使う場合は他の生物が入らないよう、出来る限り細かい網で濾過して使います。
スドーのメッシュカップはアルテミアを洗うのにも使えるのでオススメです。
天然海水が用意できない場合は人工海水でも飼育できる場合があります。
海水を切り替えるときは今日は四分の一、翌日は全体の二分の一、さらにその翌日は全体の四分の三…というように徐々に切り替えてください。
一気に全部切り替えてしまうと急な水質変化に耐えきれず、気づいたら溶けてなくなって…という事態になりますのでご注意を。
人工海水で飼育する際はなるべくポリプのうちに海水を切り替えておく方が安心です。
人工海水にはサンゴ用のものがオススメです。

◇比重計
比重計は海水の濃さを調べる時に使います。
野外でクラゲを採取した時はとった時点で海水の塩分をはかっておきましょう
数日に一度、水槽の飼育水の塩分を測ります。水分が蒸発して塩分が高くなっているときはカルキ抜きした淡水を足して、ちょうどいい塩分に調整します。

【クラゲ飼育の重要ポイント】
クラゲの飼育において、大変重要なポイントをご説明します!
飼育したい方は絶対覚えてください!!!
ポイントは4つ

 ①1つの水槽には1種類のクラゲだけにする 

水族館のクラゲ水槽を思い浮かべて頂くと、魚類とは違って色んな種類が混ざっている水槽ってないですよね。
クラゲは同じ種類どうしでは攻撃しないのですが、他の種類に対しては刺胞を発射して痛めつけてしまいます!
アカクラゲオワンクラゲなどはクラゲ食のクラゲですので、彼らの水槽にミズクラゲなんて入れたらまさしく格好の餌食です。
餌として与える時以外にはほかの種類のクラゲは入れないでくださいね。

 ②クラゲの体を傷つけない 

またまた水族館のクラゲ水槽を思い出してください。浮遊するクラゲの水槽って、クラゲと海水しか入っていませんよね?
浮遊するクラゲの水槽の中に岩や砂利、葉っぱなどの装飾を入れるのはNGです!
体が擦れて傷がつき、そこから弱ってしまいます。

例外としてハナガサクラゲエダアシクラゲなど海草などに付着して生活するクラゲには掴まれるところ(人工水草や目の粗いメッシュなど)を入れておくと良いと思います。

 ③水流を作る 

こちらも浮遊するクラゲ全般についてです。
クラゲはプランクトンですので、遊泳力はほとんどありません。
彼らは水流が無いと底に沈んでしまいます!
沈んだクラゲは水槽の底の部分から傷んで弱ってしまいます…
本当に繊細な体をしているんです。
クラゲが沈まないために、水槽内になるべくゆるやかな流れを作る必要があります
水族館のクラゲがみんな同じ方向にぐるぐる回っているのは、沈まないように工夫されているからです。

 ④傘の内側に気泡をいれない 

クラゲの傘はお椀型が多いので一度内側に空気が入ると、
ずっと水面にぷかぷか浮かんだまま自力で戻ることが出来なくなります
泡はクラゲの傘に穴をあけてしまったり、口から取り込まれて体内に入ってしまうので、
お世話のときに泡が入ってしまったらすぐに取り除いてください!
また水槽を用意するときにもクラゲの生活スペースに細かい泡がないか確認しましょう。

以上の4つはクラゲ飼育の基本になります!
基本を理解していると飼育に工夫が生まれるのでぜひ覚えておいてくださいね。

【クラゲ水槽を立ち上げよう】
基本をおさえたら、次は水槽の立ち上げです!!
飼育したいクラゲのサイズ別にご説明しますね。
ここではメデューサの水槽をご説明します。エフィラ、ポリプの飼育はこの後になります。

◇小さめ(傘径1~5cmくらいまで)のメデューサの水槽
「クライゼル式(kreisel)」と呼ばれる水槽がオススメです。

すみだ水族館のクラゲラボにおいてある水槽がこのタイプです。
見た目もおしゃれでかっこいいです!
この水槽は泡が動くことで水流をおこしています。泡で水流を起こすシステムを「エアリフト」と呼びます。
丸がひとつの単純な形状のものや、濾過槽つきのものもあります。

構造が単純なので設置が簡単ですが、泡を使っているためクラゲの傘に気泡が入らないように細心の注意を払う必要があります。
泡の勢いが強すぎないようにしてくださいね。
クラゲが回る速さは、 1秒間におよそ2 cm進むくらい が丁度いいです。
早すぎるとクラゲの体が傷み、遅すぎると沈んでしまうので、クラゲを入れたときによく観察してみましょう。

また、このタイプは水量が少ないので水替えが頻繁に必要になります。
飼育するクラゲのサイズや個体数によって頻度は変わりますが、海水が臭くなる前に定期的に水替えしてあげてくださいね!
毎日ペットボトル1本分水替えする、などの方法でも良いと思います。

クライゼル式水槽はもともと小さいプランクトンを研究するために飼育することを目的として作られました。
クラゲもプランクトンですのでこの水槽で飼育されますが、残念ながら小さいクラゲしか飼えません…。
クラゲの体に対して狭い水槽で飼育していると海水が汚れやすかったり、水槽の壁にこすれてしまったりして、クラゲが変形したり衰弱してしまいます。

◇大きめ(傘径5~15cmくらいまで)のメデューサの水槽
仕切りを付けた四角い水槽がオススメです。(江の島式と呼びます)
クラゲにあったサイズの水槽に仕切り板と外部フィルターを取り付けて、クラゲが吸い込まれないように水流を作ります。

水槽のサイズはクラゲの 傘径5cmが程度なら60cm規格水槽 
 傘径10cmを超えるくらいからは90cm規格水槽 がちょうど良いと思います(経験則)。
熱帯魚用などで市販されている水槽には規格サイズがありますので、サイズがよく分からない…という方は
熱帯魚のお店やGoogle先生に60cm規格の水槽はどれですか?と聞いて下さればわかると思います。
いろいろなクラゲを飼育して慣れてきたら色々なサイズの水槽を試してみてください。

水の流れは外部フィルターの流水量で調節します。
こちらも小さいクラゲと同様に、クラゲの流れる速さが1秒に2cm進むくらいが丁度いいと思います。
クラゲが沈んだり、出水口からの水の勢いでクラゲが傷まないようにしっかり観察してください。
仕切り板から水が吸い込まれるしくみになっているので、ここにクラゲが吸い込まれてないかもチェックしてくださいね。
仕切り板にべったり貼り付いてしまって傘に穴の跡がくっきり…なんてことになってしまいます。

出水パイプの位置はクラゲが引っ掛からないように、水面ギリギリにしておくといいかと思います。
パイプが水面より上に出てしまうと泡が発生して、クラゲの傘に入ってしまうのでご注意ください!

◇泳がないクラゲの飼育
サカサクラゲやハナガサクラゲカギノテクラゲなど、
地面または海草などに貼り付いて生活するクラゲには水流が要りません
ただし、フィルターやポンプによる強い水流があると吸い込まれてしまうので注意してください!
泳がないタイプのクラゲにはエアリフトの底面式フィルターを使っている水族館が多いです。
一般的な四角い水槽に底砂(細かめのサンゴ砂)を3cm以上敷き、泡の出口であるパイプは水面付近に配置します。
海草につかまるクラゲは人工水草を入れるとそこにくっついてくれるときもあります。

 

メデューサの場合、餌は毎日必要です。前の章でお話した通り、アルテミアなどクラゲの種類に合わせた餌を与えてください。
毎日餌やりするのでその分水も汚れます。定期的に水替えをしましょう。

メデューサの飼育方法はこんな感じです!
最近は家庭用のクラゲ水槽も色々市販されていて、小さめで安価なものから、ちょっとお高いけどデザイナーズ物件のようにおしゃれなものもあります。ですが、基本的なしくみは初めに説明した2つに近いものが多いです。
慣れてきたら自作するのもいいですね…!アクリルは意外と加工しやすいですよ~!!

【エフィラの飼い方】
エフィラの飼育には水槽よりもビンがオススメです!
エフィラ以外でも、サイズが1cmに満たないようなヒドロ虫の飼育もビンで出来ます。
まずは1Lくらいの水量があるビンを使うと良いかと思います。

エアチューブの先にガラス管やプラスチックのパイプをつけてビンに入れ、泡で水流をつくります。

ビンで飼育する場合は餌をやった日は必ず水替えをしてください!
水量がとても少ないのですぐに海水が汚れてしまいます。
特にヒーターを使って加温している場合は、クラゲの代謝が早いので水替えを忘れた翌日に全滅…になってしまうくらい水が汚れやすいです!
同じビンを2つ用意して、片方はクラゲを飼育、もう片方は海水だけを入れて、水替えするときはクラゲをスポイトでもう1つのビンに移すとちょっと楽です。
クラゲが入っていたビンに新しい海水を入れておけば、温度変化も少なく、お世話もしやすいですよ。

加温するときは30cm規格の水槽に半分くらい水(水道水でOK)を入れ、ヒーターを水槽の底に固定して、
クラゲの入ったビンを湯せんすると加温できます。

1つのヒーターで複数のビンを加温できるので便利ですよ!
ただし、ビンが水没して湯せんの水が中に入らないように気を付けてください。
また加温している水は蒸発するのも早いです。湯せんの水が無くならないように注意してくださいね。
ヒーターは電源ONのまま空気中に出ると火事になります!!
なるべく水槽の底に横向きに入れてください。(私も何本かヒーターを焦がしました…)

【ポリプの飼い方】
ポリプは維持するのがとても簡単です。
餌やりの頻度も少なく、うまく飼えば10年維持できることも…
水族館や研究機関では、このポリプを維持することがとっても重要なのですが、そのお話はまたの機会に…


キタミズクラゲのポリプ   (撮影:牧野瞳)

ポリプの飼育容器にオススメなのはタッパーです!
そう、百均なんかにもおいてあるアレです。
ポリプは付着生活をするので水流も必要なく、餌も1週間に1, 2回程度で良いので、水が蒸発しにくい密閉容器が望ましいです。呼吸もしてはいますがそこまで酸素要求量がないので、空気穴をあけたりする必要もありません。
どちらかというと塩分が濃くならない方が大切です。

ポリプを新しい容器に入れたら、まずは容器に付着させます。
方法は簡単。揺らさないように放置するだけです!
その間は餌やりも必要ありません。
種類による差や個体差もありますが、1週間ほど静置すればタッパーにくっつくかと思います。
くっついたかな~、と毎日蓋を開けたくなりますが、揺らしてしまうとくっつかないので
しばらくは我慢して触らないようにしましょう。

ポリプがくっついたら、餌やりをします。
アルテミアなどをやり、1,2時間程度置いたら水替えをしましょう。
水替えも簡単です。ポリプの入ったタッパーの海水をじゃーっと別の入れ物に移して、タッパーに新しい海水を注ぐだけです。
ただし、たまに剥がれてしまうポリプがいるので、移した海水の中にポリプが落ちていないかよーく探して、
剥がれたポリプはスポイトなどをつかってタッパーに戻してください。

ちなみに、ポリプもほんの少しずつ移動します。新しい海水を前よりたくさん入れすぎてしまうと、水面の方までポリプが移動していて、どんどんポリプが上に上がってきて、蓋を閉めると海水が漏れてくる~、という事態になることがありますのでご注意を。

ポリプは分裂など無性生殖でどんどん増殖していきます!
1つのポリプからでもたくさん増えて、タッパーの中がポリプでびっしり埋まるほどに増えていきます。
ポリプにしっかり餌を与えて栄養状態が良くなると、そこからクラゲが遊離することもありますよ!

個人的にはポリプの飼育は楽しくてかなりオススメです!
動かないようで意外と餌に素早く反応したり、水替えの頻度や餌の量が丁度いいと大きく育って元気いっぱいになったり…いろいろなふるまいを見せてくれます。
メデューサの飼育は難易度も高いので、まずはポリプを飼育してクラゲのお世話の流れやクラゲのふるまいが何となく掴めてから、エフィラやメデューサを飼育すると良いのではないかな~と思います。

生き物の飼育にはどうしても、マニュアルのように均一に出来ない部分があります。
 飼育するときにはクラゲをしっかり観察して、その変化に気づくスキルが必要です。  同じ種類や、同じ個体でも、その時その時でちょうどいい餌の量やタイミングが違います。
まずはやってみて、試行錯誤していく事も必要かなと思っています。
大学時代の私の師匠はよく「クラゲの気持ちを考えて、」と言っていました。学生の時はクラゲの気持ちって何やねん!と思ってましたが、飼育をしばらくしているとやっぱりクラゲの気持ちが分かんないと育たないな~と。(笑)しかもクラゲたち、かなり気分屋です。

この章では、クラゲの飼育の基礎的な事を説明いたしました。
ただし、ここまでお読みいただいた方はお気づきとは思いますが、具体的な数値や量はほとんど出てきません。
これは決して秘密にしてるわけではなくて、クラゲによって変わるので大まかな値しか説明で出来ないんです…!
なるべくこまめに観察して、容器の大きさや水流、水温、餌の量などを調節してみる事が一番上手に飼う秘訣です。
みなさんもぜひ、クラゲ飼育にチャレンジしてみてくださいね!
クラゲの気持ちが分かるようになるかも…?

さて、ここまで採集・餌・飼育法とたくさん説明いたしました!
長~い記事になってしまいましたが、やってみたとき、分からない時に少しづつ読み直して頂ければと思います。
もし、この内容に関して分からないことなどがありましたらぜひご質問下さい♪
記事のコメントやお問合せでも大丈夫です。
Twitterが一番早くお返事できるかと思います。(管理人:@kurageya_lab  助手:@arteth_moon)DM・リプライどちらでも可

もちろん、採集だけ、飼育だけ、水族館で見るだけ、などどんな楽しみ方でもいいと思います(*’▽’)
皆さんによきクラゲライフが訪れますように…!